潜水士
【潜水士資格とは】
「潜水士」とは、「潜水器を用い、かつ、空気圧縮機、手押しポンプによる送気やボンベからの給気を受けて行う潜水の業務(安全衛生技術試験協会HPより引用)」に就くときに必要な国家資格です。つまり、レジャーなどで楽しむスキューバーダイビングのライセンスとは違い、こちらは職業として潜水業務を行うために必要な資格です。この資格がないと潜水業務に就くことができません。レジャーダイビングのライセンスは講習会の修了証書みたいなものであるとすれば、こちらは国の発行する免許証ということになります。
とはいえ、レジャーダイビングのライセンスを取得するためには、様々な机上の勉強や実技、そして実地訓練が必要になりますが、潜水士資格は筆記試験のみ合格すれば発行されるものです。潜水士資格にも実技試験を導入すべきだとの意見も多々あるようですが、恐らくは資格の「意味」が違うように思われます。レジャーダイビングのライセンスは安全にダイビングレジャーを楽しむためのあらゆるノウハウを習得することを目的としているようですが、潜水士は「労働安全衛生」という視点から、労務災害や事故予防のための労務管理の知識の習得に重きが置かれています。よって潜水具など見たこともないような素人の方でも、きちんと机上での勉強さえすれば、1日の筆記試験のみで合格することができます。
<試験科目>
① 潜水業務 10問(30点)
② 送気、潜降及び浮上 10問(25点)
→ 10:00-12:00
③ 高気圧障害 10問(25点
④ 関係法令 10問(20点)
→ 13:30-15:30
【資格取得時のエピソード】
1. そうだ「潜水士」を取ろう!
海事代理士として常日頃から海や船についての幅広い知識を身につけていくことは、お客様との話題づくりや、信頼関係構築にとても大事な要素です。当事務所でも研修として様々なところに顔を出しておりますが、今回は港湾作業やレスキュー、海洋調査や漁業で活躍する潜水士を学んでみようと思い立ち、チャレンジすることにしました。年に何度かしか試験日がないですし、一度は職業潜水士として潜ってみたいなぁなんて思っていたので、まったくの初学なのですが、やってみることにしました。
2. 資料入手
というわけで、ではまず資料の入手をしなければなりません。「潜水士」でネット検索をすると、教習機関や講習機関がいくつか出てきます。そういうところでしっかりと一から学べばいいのでしょうが、私は金銭的にもそして時間的にもそんな余裕がなかったので、自己学習することとしました。しかしテキストなり何らかの資料がなければ勉強ができません。そこで知り合いに誰かチャレンジした方がいないかと探していたら、たまたま去年受けた方がいて、その方から過去問題を譲ってもらいました。これでようやく最低限の資料が入手できました。
3. 私の勉強方法
私は資料が過去問題しかなかったので、徹底的にそれを繰り返し学習しました。まずは今現在持っている予備知識だけでどれだけ解けるものかやってみて、そこで間違えたものをなぜそうなのかを調べるという方法で行いました。テキストもガイドブックも解説書も何もなく、ただ過去問題があるだけですので、それそのものを教材としました。勉強期間は1ヶ月。試験の1ヶ月前から本格的に学習を開始しました。
4. 申請書提出
受験申請書は、私は、東京都千代田区にある安全衛生技術試験協会の本部に直接取りに行きました。どういうところか見たかったですし、こんな時でないと訪問する機会はないでしょうから。そして申請書をなぜか2部いただきました(失敗した時用)。提出期限までに記載して郵送しました。
5. 携帯に電話が・・・
仕事中、見慣れない電話番号から2-3回電話がかかってきました。仕事中で出られなかったため、のちほど折り返しの電話をすると、安全衛生技術試験協会からの電話でした。「まずいなぁ、なんかしちゃったかなぁ」とドキドキしながら電話をかけてみると、なんと申請に必要な本人確認の書類(私の場合自動車運転免許証のコピー)が同封されていないというものでした。いゃー完璧だと思っていたのに、書類の不備というミスをしてしまうとは・・・
担当者の話によると、FAXで構わないので至急送って欲しいというので、早速事務所からFAXを送りました。FAXで済むとは、案外に緩やかだなぁなんて思いました。
6. 受験票の到着
書類の不備から数日後、受験票が届きました。なんと受験番号が「300」番! キリ番なのをラッキーと思い、なんか縁起がいいような感じがしました。試験とは全く関係ないですけどね。
7. いざ試験会場へ
当日、試験は千葉県の五井にある関東安全衛生技術センターに行きました。私は駐車場事情や道路混雑事情も全く分からなかったですし、試験に遅刻していけないと思ったので、車では行かずにバイクで向かいました。ちなみに事務所から試験会場まで80キロでした(往復160キロの旅)。いやぁ遠かったですね。しかし、結果として車で行っても影響がないくらい道路はすいていました。まぁ、ツーリングがてらバイクも楽しかったですよ。
予定していた試験時間より1時間半も早くついてしまったので、一度近くのコンビニに行き、朝ごはんを食べました。そのあと昼ごはんを食べるお店探しに、近くをバイクでぐるぐる走りました。本当、この関東安全衛生技術センターは山の中にあって、周りには食べるお店など何もないのです。お弁当持参で行くか、車やバイクなどでちょっと走って食べに行くかしかありません。私はせっかく遠くまで来たんだから、チェーン店ではなく地元らしいお店を探し回りました。そうしたら、試験センターの坂を下りたところに何だか趣のある食堂を見つけました。「お昼ごはんはここにしよう」と決めて、試験センターに戻りました。
会場は試験開始1時間前になってようやく中に入ることができるようになりました。早速自分の席を確認すると、受験番号300番の席はエキストラベットみたいな席でした。そこには300人入れる会場があったのですが、300番の机と椅子だけがポツンと外れた場所にあったのです。だから他の受験生が物珍しそうに眺めていくのです。いやー恥ずかしかったなぁ。
試験会場はきれいなのですがつくりが古い建物で、至る所に昭和の香りを感じました。以前は軽食を販売する売店があったようなのですが、閉鎖されていました。こうして試験日にはたくさん人が来るのですが、普段は職員しかいなくてまったく営業が成り立たないのでしょう。
試験を受けにきている人はざっと500-600人くらい。多くは20代と思しき人たちばかりです。私みたいな40過ぎの人はところどころにしかいません。意外にも女性が多くいるなぁとおもいましたが、主は屈強な男性が中心という感じでした。よく考えてみれば、潜水士を必要とする職場は自衛隊・海上保安庁・消防・警察が中心で、その他に港湾工事関係者やダイビングショップのスタッフと思えば、そういう人たちが多いのも納得です。みんな10人くらいの小グループで話していることが多く、警察学校などの同級生が一緒に受けにきているという感じでした。ちょっと面白かったのが、飛行機に乗ったときにテレビモニターやスクリーンがが降りてきて安全対策や緊急時のアナウンスが流れるというのがありますよね。あれと同じ方式で試験の注意事項とかが、スクリーンが下りてきてプロジェクターでビデオ解説が始まるのです。
試験そのものは、まぁ一応勉強してきたのですぐに解き終わり、早く退席して昼ごはんを食べに行きました。11時には教室の外に出たので、「ちょっと昼ごはんには早いかなぁ」なんて思いながらも、空いている時間帯だからいいか、と朝に目をつけた食堂に向かいました。食堂は昭和の田舎の食堂といった感じの雰囲気を出していたのですが、中に入ってびっくりとても若い人たち8人ほどが厨房に立っていました。どうやら宅配弁当の仕込が忙しいらしく、バタバタしていました。そこではとんかつを注文して食べたのですが、なかなかでしたよ。
昼休みが正味2時間あったので、1時間は昼食に、そして残り1時間は午後の試験勉強に当てました。車で来ている人は車内で寝ながら時間をつぶしていたので、「うらやましいなぁ」なんて横目で見ていました。バイクじゃそうもいかないですからね。<br
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午後の試験もすぐに解き終わったので、試験時間2時間のところ30分で教室を出てしまいました。午後は30分で退出可になるのです。その後、1回の窓口に立ち寄り、免許申請書を受け取ってから帰途に着きました。時計を見ると14:00、今から房総半島ツーリングに出ても目的地についたころには日が暮れちゃうしなぁ、なんて思いながらまっすぐ家に帰ることにしました。
8. 合格通知、すぐに免許申請へ
さて試験から1週間後、安全衛生記述試験協会のホームページを見てみると合格発表がなされています。早速確認し、「あった!合格だ!」と一安心。その後2日ほどたってから郵便でも合格通知が届き、すぐに印紙を購入して免許申請の書類を提出しました。この合格発表で約2/3の人が合格し1/3の人が落ちたというのが分かりました。まあまあ合格率高いんだなぁと思った反面、仕事でこの資格を取得しに来ていた恐らくは自衛官・警察官・海上保安官・消防士の人で、今回の試験に落ちてしまった人はどうなってしまうのだろう、なんて余計な想像をしてしまいました。
9. 免許証の到着
さて、免許申請から約10日ほどたって免許証が届きました。いかにも役所の発行する渋いデザインのものでした。
【過去問題集】
平成14年1月期 | 平成14年7月期 | 平成15年1月期 | 平成15年7月期 |
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平成16年1月期 | 平成16年7月期 | 平成17年1月期 | 平成17年7月期 |
平成18年1月期 | 平成18年7月期 | 平成19年1月期 | 平成19年7月期 |
平成20年1月期 | 平成20年7月期 | 平成21年1月期 | 平成21年7月期 |
平成22年1月期 | 平成22年7月期 | 平成23年1月期 | 平成23年7月期 |
平成24年1月期 | 平成24年7月期 | 平成25年1月期 | 平成25年7月期 |
平成26年1月期 | 平成26年7月期 | 平成27年1月期 | 平成27年7月期 |
平成28年1月期 | 平成28年7月期 | 平成29年1月期 | 平成29年7月期 |
平成30年1月期 | 平成30年7月期 |
【受験申請手続き】
1. 労働安全技術試験協会に郵送依頼をするか、受験申請書取扱機関に直接「免許試験受験申請書」を取りに行きます。
2. 受験申請書に綴り込みの専用の払込用紙で試験手数料6800円(平成25年7月現在)を郵便局ないし銀行で払い込みます。そして本人確認書類を添付して受験申請書を提出します。
3. 「書類に不備があった場合受理できません」と注意事項にありますが、実際はそこまで冷酷ではなく、「こんな不備があったからすぐ送ってください」とか「試験日当日それ(不備の書類)を持参して提出してください」なんていう対応があります。
4. 会場に行って試験を受けたあと、免許証の申請書をすべての試験が終わった帰りに、窓口で受け取ってから帰ります。
5. 合格通知が来たら、その合格通知を添付して収入印紙を貼った免許申請書を提出します。
6. 約1ヶ月以内に免許証が自宅に送られてきます。私の場合、案外と早く10日ほどで手元に届きました。
【手続きが面倒という方のために】
東京湾海事法務事務所では、受験手続から免許申請までの一連の手続が面倒という方のために、手続代行を斡旋するサービスをご用意しています。詳しくは問い合わせ窓口からお問い合わせください。