受験から合格まで
ここに海事代理士の資格取得を目指した時点から、実質的な開業海事代理士としてのスタートを切るまでの道のりについて私のケースをつづっておきたいと思います。海事代理士試験そのものについては他の方が詳しく解説しているページがございましたのでそちらを参考にしていただき、私は試験の出願から開業までの手続きのプロセスと多少の苦労話についてご紹介していきたいと思います。これから海事代理士として開業を目指されている方などの少しばかりの参考になれば幸いです。
1. 海事代理士試験願書提出 2012年8月31日
願書提出最終締切日であった2012年8月31日の夕刻ぎりぎりに横浜にある関東運輸局に海事代理士国家試験試験願書をとりに行きました。本当は郵送でも願書は受けとれるのですが、試験申し込み期限がぎりぎりで、そんな手続きをしていたら間に合わなくなってしまったので、直接取りに行くこととなってしまいました。当日、私自身は仕事で行けなかったので、代わりに別の者に依頼して行ってもらいました。そして、自宅に持ち帰ったその願書をすぐに記入し、その日のうちに郵便局の深夜窓口に提出し、なんとか8月31日の消印をもらうことができました。しかし、こうしてぎりぎりに申込書を提出することによって、ちょっとだけ有益な情報も得ることができました。それは、受験番号の数によって、関東運輸局管内では何人受けるのかが分かったのです。そうしていただいた受験票がこのようなものでした。
受験票に貼る写真は私は以前デジカメで撮影したものをパソコンを通してプリンターでプリントアウトしたのですが、なんとその時にプリンターのシアン色がなくなり、ご覧の通りのセピア色の受験票添付写真になってしまいました。しかしそれでも、受験票の写真としては受理していただけました。
2. 試験勉強
さて、海事代理士になろうと思い立ってから問題集や参考書を至急手に入れることになりました。私が選んだのは、NPO法人REAL、海事代理士試験研究センターの「平成24年度版海事代理士合格六法」と「平成24年度版海事代理士過去問題集」であります。実質この2冊くらいしか参考となる文献がなさそうな感じでした。しかし2冊で1万円オーバーととても高額な図書なのでした。背に腹は変えられず、これもまたネットから8月31日に注文したのです。しかしその翌日、メールで「在庫がありません」との回答。「おおい、肝心の資料が手元になければ何の試験対策もできないぞ」と、ちょっと焦りました。しかし3日ほどしてから在庫発見の知らせがメールであり、大至急送ってもらいました。
海事代理士試験に関してはその情報がほとんどないことから、私は試験対策としてこの問題集とテキストをすべて完全に覚えることでその対策としました。しかし、554ページ+654ページと両方で1000ページ以上あるものの完全暗記は、40歳を超えた私には試練の作業でした。しかし、大好きな船舶と海洋のことであるから、意外に理解は進み、また以前公務員であったり国会議員公設秘書をしていたことから法律には馴れ親しんでおりましたので、あまり苦にならずに進めていくことができました。しかし、科目数が異常に多いことと(実質40科目以上?)、暗記する内容が膨大(特に数字)なのは結構きつかったですね。最終的には過去問題を5回転やりました。そして8月31日から試験当日までは、ほぼ試験勉強一色の毎日になりました。
ただ、勉強している途中から気づいたのですが、私が1万円以上して購入したREALの2冊のテキストは、別に購入しなくてもよかったのではないかと思うようになりました。実は国土交通省のホームページに海事代理士試験の過去問題が10年分掲載されており、その内容がREALのテキストの内容とほぼ同じだからであります。よって私は途中でテキストが痛むのを嫌って、国土交通省のホームページからプリントアウトした過去問題を使用していました。また、法令に関してはすべてネットからダウンロードできるので、そのほうが書き込みもできるし、コンパクトに持ち歩くこともできたので、REALの「合格六法」は開かなくなりました。すなわち私は途中からネットで手に入るものだけで勉強するようになっていました。そして結果としてそれだけで十分でした。しかし、法令に慣れていなかったり、海事関係に通じていないのならば、きちんとした勉強会などに参加されるほうが賢明だと思います。
3. 筆記試験 2012年9月28日
いよいよ待ちに待った筆記試験、私は自信度80パーセントくらいで臨みました。何度か過去問題をやっていると毎年必ず出る試験問題と、一度出たらもう二度と出ないだろうと予想されるものも分類できるようになり、そのヤマが当たれば間違いなく合格できるであろうとの予想をもとに試験に臨みました。しかし、内心、今年はまったく違う傾向になったらどうしようと不安も隠せないものでした。
さて、試験は・・・というと、例年の傾向とはちょっと違うなぁというのが私の印象でした。「いつも出していた問題が今年は出ていないじゃないか」と思う部分が多々ありました。また、「えっそこほとんど勉強していないところなんだけど」なんていうところも出題されました。しかし、なんとか解答することができ、どの試験科目も私は一番に教室を出て、次の試験科目の勉強を控え室でしていました。そして、問題は試験時間が終わると持ち帰りがオッケーなので、必ず問題に自分が書いた解答をメモで残しておきます。後ほど答え合わせをするためです。これはこれから受ける人は必ずしておくといいでしょう。
さて、筆記試験が全部終わると、試験終了後に模範解答が配られます。私は早速それを手に入れ、駐車場においた車の中で答え合わせをしました。そうしたところなんと合格点に十分到達している(正答率80パーセント)ことが分かりました。思わず車の中で「ヤッター」とガッツポーズをし、その足で三浦半島にマダコ釣りに行ってしまいました。<br
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そういえば、筆記試験の受験者を見ていたら変なことに気づいてしまいました。まず、試験を棄権する人が多いなぁということです。私の周りも試験場に現れなかった人が多く、席がスカスカでした。また、試験場に来た人の「見た目」は20-30代もいるけど40-50代が多いなぁということと、「若いあんちゃん・ねーちゃん」みたいな子もいるんだなぁなんてことを感じました。けどそれが口述試験になると・・・
4. 筆記試験合格発表 2012年10月26日
試験終了直後に答え合わせをしたとはいえ、もしかしたら転記ミスやうっかり勘違いなどあるのかもしれないと思い、不安な日々を過ごしていたのですが、何とか正式な合格通知が届き、ほっと一安心しました。とはいえこれは通過点、次は口述試験という関門が待っています。
しかし、私は何を考えたのか、口述試験を少しなめてかかっていました。というのも毎年の口述試験の合格率を見ると90パーセント以上が受かっていますし、ネットで過去受験した方々のコメントを見ると、筆記ができれば口述は苦労しないようなことが書いてあったからです。口述試験の10日前まで一切海事代理士の勉強から遠ざかっていました。<br
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しかしそれではいけないと思い、ボイスレコーダーに口述試験の過去問題を自分自身の声で録音し、それを通勤の間などに聞きながらブツブツ独り言のように口述で回答していました。口述試験10日前からのラストスパートでした。
5. 口述試験 2012年11月26日
口述試験は全国の試験場で筆記試験を突破した方が国土交通省本省に集まり受けるのですが、私みたいな都内近郊の人は朝の早い時間か夜の遅い時間に割り当てられ、遠くから来る人は昼の時間に試験時間が割り当てられていました。私は霞ヶ関まで自転車で行ける所に住んでいるので、案の定一番夜遅い時間の試験でした。
口述試験の受験者は筆記試験のときとは打って変わって、スーツにびしっと身を固めたお堅いイメージの人ばかりになっていました。年も40-50代がさらに目立つようになっていました。あぁ、筆記試験会場で見かけた「あんちゃんねーちゃん」はパスしなかったんだなぁなんて思っちゃいました。
口述試験そのものははっきり言って難しかったです。正直、試験終了後「落ちたな」と思いました。だいいち、試験の質問の日本語がおかしいものもありましたから。何を問いたいのか分からないという試験問題もありました。また、その場でぱっと答えることができずパスする問題もたくさんありました。合格点が60パーセントだから、うぁーぎりぎりアウトか・・・なんて正直試験終了後は落ち込みました。しかし、みな同じだったみたいで、受験者同士で同じようなことを話していました。
6. 書類準備、印鑑準備
実は私、もし万が一合格していたらすぐにでも開業手続きをしようと思い、口述試験合格発表前にさまざまな書類や必要な備品を用意しました。ひとつは印鑑です。海事代理士としての業務印を合格発表後で作っていたら年内に登録手続きができないので、口述試験が終わってすぐにネットで注文しました。なんと水牛の24ミリ角印、水牛の代表印、水牛の銀行印、この3点セットで2980円だったのです。安くないですか?一応手彫りだそうです。デフレに感謝です。
また法務局に「登記されていないことの証明書(後見登記に関する法律第10条第1項に関する登記事項証明書)」を手に入れなければなりません。しかしこれは東京法務局では郵便で手に入れられるとのことでしたので、郵送で申請し、早々と手にしておきました。
さらに戸籍抄本ですが、文京区役所に行って郵送で送ってもらいました。海事代理士登録申請書(第一号様式)と宣誓書はあらかじめ国土交通省のホームページからダウンロード&印刷し、記入を終えておきました。そして30000円分の収入印紙は東京駅近くのチケットショップでちょっとだけ安く(29700円)手に入れておきました。
ここまで用意をしておけば、あとは合格通知書が届き、それをコピーし、登録申請書に証書番号を記入するだけで提出ができるようになります。私はそこまでの状態に12月13日まで準備し、合格通知が届くのを待っていました。でも合格しなかったら、全部無駄になってしまいますね。
(書式ダウンロード)
※2013年2月1日現在の書式です。もし書式に変更があるようでしたらご連絡ください。
●登記されていないことの証明書(本人申請の場合)記載例・注意事項・書式
●登記されていないことの証明書(本人から委任を受けて代理で申請する場合)記載例・注意事項・書式
●登記されていないことの証明書(本人の配偶者または四親等内の親族が申請する場合)記載例・注意事項・書式
●登記されていないことの証明書(上記の方から委任を受けて代理で申請する場合)記載例・注意事項・書式
●登記されていないことの証明書(郵送で会社等が複数名分を取りまとめて申請する場合)記載例・注意事項・書式
●海事代理士登録申請書(第一号様式) 関東運輸局長宛 Word版 ←関東以外の方は書換えて使ってください(以下同様)
●海事代理士登録申請書(第一号様式) 関東運輸局長宛 PDF版
●宣誓書 関東運輸局長宛 Word版
●宣誓書 関東運輸局長宛 PDF版
●海事代理士変更登録申請書(第四号様式) 関東運輸局長宛 Word版
●海事代理士変更登録申請書(第四号様式) 関東運輸局長宛 PDF版
●戸籍抄本請求書 東京都文京区役所 PDF版 ←文京区民でなければほとんど関係ないか、まっ、一応
●戸籍証明用委任状 東京都文京区役所 PDF版 ←同上
7. 口述試験合格発表 2012年12月14日
口述試験が終わり、合格発表日に私はネットで官報を閲覧しました。そうしたら・・・あった!合格してた!、官報に私の受験番号が掲載されていました。私は喜んだのなんだのって。でも仮に合格してもぎりぎりだっただろうなぁと思いました。でも合格は合格、ほっと一安心しました。